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岡山地方裁判所 平成7年(ワ)211号 判決 1998年3月26日

原告

柳原由之

被告

那須恭子

主文

一  被告は、原告に対し、金七六四万一三六五円及びこれに対する平成四年三月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを八分し、その七を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、金六〇〇〇万円及びこれに対する平成四年三月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  交通事故

日時 平成四年三月一一日午前八時一三分頃

場所 岡山市門田屋敷二丁目二番二六号先の県道岡山牛窓線上

車両一 普通乗用自動車

右運転者 被告

車両二 自動二輪車

右運転者 原告

事故態様 原告が、原告車両を運転して右県道を西進中、進路前方の三叉路交差点に北上してきた被告が、同交差点から右県道に左折進入する際、原告車両の進行を妨害したため、被告車両との衝突を避けるため急ブレーキを踏んだ原告車両がスリップし、交通渋滞で停止していた車両二台に衝突、転倒し、原告が負傷したもの。

2  責任

本件事故は、被告が三叉路交差点から原告が進行してきた県道へ進入するに際し、右方の安全確認を怠ったまま漫然と進入した過失により発生したものであるから、被告は民法七〇九条及び自賠法三条の責任を負う。

3  受傷、治療経過及び後遺障害

(一) 原告は、本件事故により、頸部・胸・腹部打撲、出血性ショック、肝破裂、膵・腎損傷、右肺挫傷、血気胸、右第四・五・六肋骨骨折の傷害を受けた。また、原告は、右傷害の治療及びそのために受けた手術あるいは出血性ショック死防止のための輸血によって、C型肝炎に罹患した。

(二) 原告は、本件事故後、次のとおり岡山市立市民病院へ入通院して治療を受けた。

(入院)

(1) 平成四年三月一一日から同年一〇月二二日までの二二六日間(このうち、一七四日は付添看護が必要であった。)

(2) 平成五年六月二三日及び同月二四日の二日間

(3) 平成五年七月五日から同月二五日までの二一日間

(4) 平成六年三月一七日から同年四月一四日までの二九日間

(5) 平成七年一一月一日及び同月二日の二日間

(6) 平成七年一一月二二日から同年一二月二一日までの三〇日間

(通院)

(1) 平成四年一〇月二七日から平成五年六月一八日までの間(実治療日数六三日)

(2) 平成五年六月二九日から同年七月二日までの間(実治療日数二日)

(3) 平成五年七月二六日から平成六年三月一一日までの間(実治療日数五二日)

(4) 平成六年四月一五日から平成七年一〇月二七日までの間(実治療日数一一八日)

(5) 平成七年一一月一〇日から同月一七日までの間(実治療日数二日)

(6) 平成七年一二月二三日から平成九年二月一八日までの間(実治療日数九一日)

(三) 原告は、右治療の結果、平成九年二月一八日頃症状が固定したが、次のとおりの後遺障害が残った。

(1) 胆のうの全摘出、肝臓の膿の摘出不能、腹壁ヘルニアによるネット挿入。

(2) 慢性C型肝炎

4  損害

原告は本件受傷により、次のとおりの損害を被った。

(一) 治療費 二二五七万三二七六円

(二) 看護料 七八万三〇〇〇円

(三) 雑費 四四万四六〇〇円

(四) 通院交通費 三万七二〇〇円

(五) 休業損害 五八一万円

(六) 逸失利益 六九六八万七二〇二円

(計算式 五一三万円×二〇・二七五×〇・六七=六九六八万七二〇二円)

胆のうの全摘出、肝臓の膿の摘出不能、腹壁ヘルニアによるネット挿入は、少なくとも「胸腹部臓器に障害を残すもの」として後遺障害別等級表一一級に該当する。また、慢性C型肝炎は、「胸腹部臓器に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として後遺障害別等級表七級に該当する。

したがって、右二群の後遺障害を併合すれば、原告の後遺障害は六級に相当する。

(七) 慰謝料

入通院慰謝料 四〇〇万円

後遺障害慰謝料 六〇〇万円

(八) ジヤケット等損傷 三〇万円

(九) 弁護士費用 三〇万円

5  損害の填補

原告は、地方公務員災害補償基金から右(一)、(四)及び(五)の合計金二八四二万〇四七六円を、自動車損害賠償責任保険から一二〇万円をそれぞれ受領した。

6  まとめ

よって、原告は、被告に対し、右未填補損害額八〇三一万四八〇二円の内金六〇〇〇万円及びこれに対する本件事故発生日の翌日である平成四年三月一二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1のうち、事故態様は不知、その余は認める。

2  請求原因2は争う。

3  請求原因3及び同4のうち、本件事故と原告に生じたC型肝炎との因果関係については否認する。その余はいずれも不知。

4  請求原因5は認める。

三  抗弁

1  免責(自賠法三条の責任に対して)

本件事故は、被告が本件三叉路交差点へ進入するに際して、一旦停止の上、右折のために安全確認をして完全に方向転換を終えた直後、直進してきた原告車両が被告車両と衝突しそうになって急ブレーキをかけてスリップし、他の車両と接触して被告車両の下に転がりこんだものであり、事案としては被告車両に原告車両が追突したと同視しうるべき状況であった。原告車両が渋滞のために停滞している車両の横をスピードを出して通り抜けようとする行動は、被告にとって明らかに予測し難いものであるから、被告は無過失である。

2  過失相殺

仮に、被告に何らかの過失が存するとしても、前記の本件事故状況に照らすと、原告の過失は重大であり、被告の過失割合が三〇パーセントを超えることはない。

3  消滅時効

胆のう全摘出については、摘出時に後遺症としては症状固定しているといえるから、消滅時効が完成している。また、慢性C型肝炎についても罹患時から三年以上経過しているから、消滅時効が完成している。

四  抗弁に対する認否

抗弁1ないし3は、いずれも否認ないし争う。

第三証拠

本件記録中の書証目録及び証人等目録のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  交通事故(請求原因1)

1  請求原因1のうち、事故態様を除くその余の事実は、当事者間に争いがない。

2  証拠(甲一ないし三、六ないし九、一一ないし一五、原告本人、被告本人)によると、次の事実が認められる。

(一)  原告は、平成四年三月一一日午前八時一三分頃、出勤のために、岡山市門田屋敷二丁目二番二六号先の県道岡山牛窓線上を、岡山市湊方面から同市門田屋敷本町方面に向けて自動二輪車で西進していた。本件事故当時は、晴天で、アスファルト舗装の路面は乾燥しており、朝の通勤時間帯で右県道を通る車両は多く渋滞していた。右県道の本件事故現場付近の制限速度は、時速四〇キロメートルであった。原告の進路前方の見通しは良かったものの、左方は歩道橋の柱が支障になって悪かった。原告は、本件事故現場の約四〇メートル手前に差し掛かったとき、片側二車線のうち右側車線が渋滞していたのに対し、左側車線がすいていたので、道路左側から約一・三メートルのところを時速約五〇キロメートル以上の速度で走行して(前掲各証拠によって認められる、本件事故現場に残されたタイヤのスリップ痕が約七・五メートルであったこと及び本件事故前後の状況に照らすと、原告車両の当時の速度は時速五〇キロメートル以上であったことが推認できる。)、本件交差点に差し掛かった。

(二)  本件交差点は信号機のない交差点で、県道岡山牛窓線の方が優先道路になっている。被告は、通勤のために、岡山市平井方面から本件三叉路交差点に向けて北進し、右交差点で岡山市門田屋敷本町方面へ左折しようとして、交差点手前の停止線で一旦停止した。この位置からは、右方の見通しは、歩道橋の柱が支障になってあまり良くないが、一時停止線から北へ三、四メートル進んだ位置からは右方がよく見通せる。被告は、停止線での一旦停止の際、右方及び左方の安全を一応確認したものの、その後右方から進行してくる車両はないものと軽信して右方の安全確認を十分行わず、時速約一〇ないし一五キロメートルの速度で左折を開始した。

(三)  原告は、本件事故現場に差し掛かった際、交差道路の交差点手前の停止線付近にいる被告車両を認めたが、自車の方が先に本件交差点を通過できるものと思ってそのままの速度で左側車線の少し右寄りの位置を走行していたところ、被告車両が左折のために自車の進路前方に出てきたので、危険を感じ急ブレーキをかけた。しかし、その反動で原告車両はスリップして、交通渋滞で停止していた前方西行き右側車線上の水島久仁治運転の普通乗用自動車の左後部に衝突して転倒し、水島車の前方の曽根智恵運転の普通乗用自動車の下に倒れ込んで、同車の左後輪泥除け付近に衝突し、原告は、原告車両から投げ出されて被告車両右下付近路上へ倒れ込み重傷を負った。

なお、原告車両には被告車両と直接衝突した痕跡は見られなかった。

(四)  以上のとおり認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

3  よって、本件事故態様の概要は、請求原因1のとおりであったことが認められる。

二  責任(請求原因2)及び免責(抗弁1)

そもそも、自動車の運転者が見通しの悪い交差点で左折する際には、右方の安全確認を十分に行って、直進車の進路を妨害するなどしてはならない注意義務があるというべきところ(道路交通法三六条)、前記一2で認定した事実によると、被告は、右方の安全を十分に確認せずに左折を開始し、そのために交差道路を右方から直進してくる原告車両の通行を妨げたもので、原告が被告車両との衝突を避けようとして本件事故が発生したのである。そして、被告が右方の安全確認義務を十分に行ってさえいれば、右方から直進してくる原告車両の存在を容易に発見でき、本件事故は発生しなかったものと認められ、本件事故の直接の原因は、被告の右方の安全確認義務違反にあるというべきであるから、原告車両と被告車両とが直接衝突した事実がなかったことをもって、被告に過失がないということはできない。

したがって、被告は原告に対し、民法七〇九条及び自賠法三条に基づいて原告に生じた損害を賠償しなければならない。

三  受傷、治療経過及び後遺障害(請求原因3)

1  まず、本件事故と原告に生じたC型肝炎との因果関係について検討する。

証拠(甲四、五、九、一〇、一六、原告本人)並びに弁論の全趣旨によると、原告は、本件事故により、頸部・胸・腹部打撲、出血性ショック、肝破裂、膵・腎損傷、右肺挫傷、血気胸、右第四・五・六肋骨骨折の傷害を受けたこと、そのために、事故後直ちに岡山市立市民病院へ入院して治療を受けたこと、原告は同病院で、出血性ショック死を防止するため及び治療のための手術の際に約二万四〇〇〇ccという多量の緊急輸血を受けたこと、その際の輸血によりC型肝炎に感染したこと、原告が感染を知ったのは平成五年五月頃であったこと、原告は、本件事故にあうまでは健康そのもので、C型肝炎罹患の兆候は全く見られなかったこと、一般に、大量輸血後に輸血が原因でC型肝炎に感染する危険性もないではなく、原告に生じたC型肝炎の原因についても、本件事故後の治療の際の輸血以外には考えられないことが認められる。

このように、原告が治療のために大量の輸血を必要としたのも本件事故による受傷に起因するから、原告のC型肝炎への罹患及びそれによる肝機能障害の発生と本件事故との間には、相当因果関係があるというべきである。

2  前記認定事実に、証拠(甲一六、原告本人)を併せ考慮すると、原告の本件事故による受傷及び治療経過は、請求原因3(一)、(二)のとおりであったことが認められる。

また、前掲各証拠並びに弁論の全趣旨によると、原告には、胆のう全摘出及び慢性C型肝炎等の後遺障害があること、そのうち、最も重篤な慢性C型肝炎については、平成八年度のインターフェロン投与(第三回目)が奏功して平成九年二月一八日に一応治療を終え、岡山市立市民病院の医師冨山吉久(主治医)によって、これ以上入通院は不要で、症状が固定したと一応診断されたことが認められるから、原告の後遺障害はその頃に症状固定したものと解するのが相当である。

四  損害(請求原因4)

1  治療費 二二五七万三二七六円

証拠(甲一六、乙一の1、2、原告本人)並びに弁論の全趣旨によると、原告が本件事故による受傷後、C型肝炎の症状が固定した平成九年二月一八日頃までの間、治療のために要した費用は、合計二二五七万三二七六円であることが認められる。

2  看護料 七八万三〇〇〇円

原告は、本件事故による受傷のために、入院期間のうち一七四日間は近親者による付添看護が必要で、その間一日当たり四五〇〇円と認めるのが相当であるから、付添看護料七八万三〇〇〇円も本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

3  雑費 四〇万三〇〇〇円

前記認定によると、原告は、本件事故のため合計三一〇日間入院しているところ、その間に必要な入院雑費は一日当たり一三〇〇円と認めるのが相当であるから、入院雑費合計四〇万三〇〇〇円も本件事故による損害と認める。

4  通院交通費 三万七二〇〇円

弁論の全趣旨によると、原告が本件事故のために岡山市立市民病院への通院に要した交通費の合計額は三万七二〇〇円であることが認められ、これも本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

5  休業損害 五八一万円

弁論の全趣旨によると、原告は、本件事故後入院治療のために休職し、復職するまでの間に合計五八一万円の休業損害を被ったことが認められる。

6  逸失利益

証拠(甲二三の1ないし3、二四の1ないし4、原告本人)並びに弁論の全趣旨によると、原告は、本件事故当時満三一歳の健康な男性で、岡山市職員として同市教育委員会に勤務しており、本件事故前の平成三年三月から平成四年二月までの一年間の給与総額は五一三万円を下らなかったこと、原告は職場に復帰した後は、事故前よりも多少勤務に支障があるものの、収入減には至っていないこと(原告が本件事故のために現時点で収入減を生じていることを認めるに足りる証拠はない。なお、原告が現在の収入を維持するために努力を要する点については、後遺障害慰謝料算定の一事情として考慮することにする。)、原告は、症状固定日である平成九年二月一八日当時(前示三2)三六歳であり、現在岡山市職員として建築物関係の計画、設計及び現場管理等の仕事をしているが、平時は多少疲れやすいものの格別問題なく勤務できること、その後も定年になる満六〇歳までの間は、後遺障害の影響で昇格や昇給等で多少不利益な取り扱いがなされる可能性もないではないが、格別大幅に収入減になるような事情を認めることはできないこと、しかし、岡山市職員を定年退職した後は、前記後遺障害の内容程度に照らすと、再就職で職種が限られる等、同年齢の健康な人に比べると相当程度労働能力が劣るであろうことが推認できる。

これらの事情を総合考慮すると、原告は、満三六歳から六〇歳までの二四年間はその労働能力の一〇パーセントを喪失し、満六〇歳から就労可能年数である六七歳までの七年間はその労働能力の三五パーセントを喪失したものと解するのが相当である。

そうすると、原告の後遺障害による逸失利益は次の計算式のとおりになる。五一三万円×〇・一(労働能力喪失率)×一五・五〇〇+五一三万円×〇・三五(労働能力喪失率)×〔一八・四二一(満三六歳から満六七歳までの三一年間に対応する新ホフマン係数)-一五・五〇〇(満三六歳から満六〇歳までの二四年間に対応する新ホフマン係数)〕=一三一九万六一五五円

7  慰謝料

(一)  入通院慰謝料 四〇〇万円

本件事故の態様、傷害の部位、程度、入通院期間等本件に表われた一切の事情を総合考慮すると、原告の入通院慰謝料は四〇〇万円が相当である。

(二)  後遺障害慰謝料 六〇〇万円

原告に生じた後遺障害の内容、程度、及び将来の健康に対する不安等に加え、前記のとおり、原告が公務員としての職務を遂行する上で格別努力を要すること等本件に表われた一切の事情を総合考慮すると、原告の後遺障害慰謝料は六〇〇万円が相当である。

8  ジャケット等損傷(請求額三〇万円)

これを認めるに足りる証拠はない。

9  合計 五二八〇万二六三一円

五  過失相殺(抗弁2)

1  前示一2の本件事故状況に照らすと、本件事故は、第一次的には被告の右方の安全確認義務違反の過失によって生じたものである。

2  他方、前示一2によると、原告は、本件事故発生直前に、三叉路交差点の左方道路の停止線付近にいる被告車両を発見したのであるから、その動向を十分に注視して、被告車両が左折を開始したら直ちに停止できるように減速するなどすべきであり、そうすれば、本件事故の発生を回避できたものと認められる。

しかるに、原告は、被告車両の動向に十分注意を払わず、また、制限速度を超過して走行しながら減速することもなく漫然とそのまま直進したために、本件事故に遭遇したのであるから、原告にも右の点に過失がある。

3  以上認定の諸事実を総合考慮すれば、双方の過失割合は、被告を七とし、原告を三とするのが相当であり、その結果、被告が賠償すべき損害額は三六九六万一八四一円(円未満切捨て)になる。

六  損害の填補(合計二九六二万〇四七六円)

請求原因5は、当事者間に争いがない。よって、前項の金額から右金額を控除すると、七三四万一三六五円になる。

七  弁護士費用(請求額三〇万円)

本件事案の内容、審理の経過、認容額等に照らすと、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は、三〇万円と認めるのが相当である。

八  消滅時効(抗弁3)

なお、被告は、抗弁3のとおり、胆のう全摘出及び慢性C型肝炎等の後遺障害に関する損害賠償債権について消滅時効を主張するが、原告のすべての後遺障害について症状が固定したのは、前記三2認定のC型肝炎の症状固定時期である平成九年二月一八日頃であるから、原告は、その頃になって初めて本件受傷による損害の全容を知り得る状態になったものというべきである。

よって、消滅時効は右同日から進行するものと解するのが相当であるから、原告が本訴で右各後遺障害による損害賠償を請求した平成九年七月三日には、未だ消滅時効は完成していないことが明らかであるから、被告の主張は理由がない。

九  結論

以上によると、原告の請求は、被告に対し、七六四万一三六五円及びこれに対する本件事故発生日の翌日である平成四年三月一二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条、六四条を、仮執行宣言につき同法二五九条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 白井俊美)

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